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New Balance BB550LWT
伝説の人気バッシュ”550″
競技者向けバスケットボールシューズとして発表され、人気を博した「PRIDE550」の復刻版”BB550″のレトロカラーモデルがESSENCE ONLINE STOREでも発売となります。
レトロを地で行くバッシュ
1989年に誕生した〈ニューバランス〉が作ったバスケットボールシューズPRIDE550を復刻させたBB550。〈ニューバランス〉といえばランニングシューズのイメージが強いですが、バスケットボールシューズとはどういうことか。
そもそもBB550のオリジナルであるPRIDE550は、多くのスニーカーヘッズをもってしても「知る人ぞ知る」の領域から出てくることはなかった珍品ではないでしょうか(リアルに知っている人は間違いなく40オーバーでしょう)。
この隠れたアーカイブに目をつけ、世に送り直したのが2021年のこと。同年、10月には〈エメ・レオン・ドレ〉とのコラボレーションを発表し、またたく間に話題となったモデルです。
コラボレーションは〈エメ・レオン・ドレ〉のファウンダーであり、将来的に発売を予定している990v6を手掛けたとされる〈ニューバランス〉の「MADEシリーズ」初となる外部クリエイティブディレクターに就任したテディ・サンティスの手腕によるもので、80〜90年代のレトロな空気感やクリーニングされた配色は現在のトレンドの真っ只中と言えるでしょう。
今回のBB550LWTはコラボレーションではなくインラインプロダクトですが、共通項もあります。
まずはホワイトを基調としたレザーのアッパー。古いバッシュとなればNBAのルール上ホワイトが絶対(かつてのエアジョーダンの罰金の話があるくらい厳格だった)。ですので、割りとウェイトの効いたルックスでしっかりどっしりしています。
加えて配色的には1色。「LWT」というカラー名が付いています。「LOW WHITE」のことなのかなとも推測できます。
もう一つの共通項は、聞こえは悪いですが黄ばんだソールの再現です。デッドストックを店の裏から出してきたような、状態はミントだけどラバーの性質上仕方のない変色。そちらを再現。〈ニューバランス〉に限らずこの波は今のスニーカートレンドのワンステップ上のムーブメントになっています。
白黒以外のグラデーションとなるグレーも加えたモノトーンを貴重とした配色もどこかレトロ感を加速させています。さらにパンチングによるレザーの処理や、謎に切り替えを多用したカッティングも80年代後期から90年代初期にかけてのデザインフォーマットに則っていてなんとも味のある表情です。
一見ボリューミーに感じるフォルムですが、一斉を風靡したチャンキーソールなスニーカーやダッドシューズのようなぽってりしたニュアンスがないのは、バッシュ由来であることがそうさせるのでしょう。プレーに必要なディテールしか原則的に含まれませんので。ほんのり足元の存在感を高めながら、今求めるクリーンでニュートラルな質感に触れられる「ちょうどよさ」が、人気の秘訣なのかもしれません。
発行日: 2022/03/16 〈 文=STAFF N 〉